ノロウイルスは食中毒のイメージが強いかと思いますが、感染源は食品に限りません。
そのため食品を取扱う業種の方はもちろん、全ての業態で感染予防策が必要です。
ノロウイルスは例年10月頃から感染が増加し、冬場にピークを迎えます。
感染すると24~48時間の潜伏期間の後、激しい嘔吐や下痢、腹痛、発熱等を引き起こしますが、一部自覚症状がなくても感染しウイルスを排出するケースもあります。
そのため自覚症状の有無にかかわらず、正しい対策を全従業員が確実に行うことが重要です。
2024.10.09
ノロウイルスによる食中毒の発生状況
①10月ごろから急増し、冬場がピーク。その後は4月頃まで多発
ノロウイルスによる食中毒の発生状況月別推移を示しました。例年10月ごろから増加しはじめ、冬場に発生ピークがあることがわかります。一般的に「ノロウイルス=冬」のイメージがありますが、実際には4~5月まで食中毒が多く発生していますので、調理担当者や従業員の入れ替わりの多い春先にも、注意が必要です。
②食中毒患者数の約半分はノロウイルス
ノロウイルスによる食中毒が全体に占める割合を示しました。過去10年の平均では、事件数では全体の約5分の1、患者数では約半数を占めています。ノロウイルス食中毒を減らすことができれば、食中毒全体を大幅に減らせることができると考えられます。
出典:厚生労働省「食中毒統計」上記をもとにサラヤ(株)作成
徹底した手洗い
ノロウイルス対策において重要なのが手指衛生です。
ノロウイルスは他のウイルス・細菌と比較してとても小さく、手指に付着したノロウイルスは、しわや爪と皮膚のあいだに入り込んで、正しい手洗いを行わないと除去することが難しくなります。
そこでぜひ行って頂きたいのが衛生的手洗いです。
衛生的手洗いは感染予防や食中毒予防のために、手に付着した菌(通過菌)をすべて除去することを目的とした、石けん液と手指消毒剤(アルコール)を用いた手洗いです。
石けん自体にはノロウイルスを不活化する効果はありませんが、手の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から洗い流しやすくする効果があります。
環境の清浄
ノロウイルスは環境中で長期間感染性を維持し、凍結してもほとんど不活化しないことが分かっています。
感染者は排泄物や嘔吐物からウイルスを排出するので、特にトイレの清浄が予防の要となります。
手の触れやすい箇所を中心に定期的に清掃を行い、清掃時には清掃担当者が感染しないよう、個人防護具を正しく着用しましょう。
汚物の処理
ノロウイルス感染者は急な吐き気に襲われることも特徴的です。そのためトイレ以外の場所で従業員やお客様が嘔吐した場合、誤った方法で嘔吐物を処理すると感染を広げてしまう可能性があります。
処理時のポイント
感染防止品の
着用処理従事者の感染防止および感染拡大防止
立ち入りの制限
処理従事者以外は汚物に近づけない
十分な換気
換気を行なって室内のウイルス量を減らす
効果的な
殺菌剤の使用処理時にすばやく使用できるよう適切な濃度で常備するとよい
広範囲の清浄化
ウイルスは広く飛散・高く舞い上がる
処理後の
手洗いとうがい口腔内に残存しているウイルス量をうがいで減らす
ノロウイルスは「ノンエンベロープウイルス」
ノロウイルス対策において重要なのはノロウイルスに効果のある薬剤を使用することです。
エンベロープのあるウイルスは、アルコール消毒剤からダメージを受けやすいのに対し、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)は、ダメージを受けにくく、アルコール消毒剤が一般的に効きにくい傾向にあります。
ノロウイルスはノンエンベロープウイルスに該当するため、対策には次亜塩素酸ナトリウムまたはノンエンベロープウイルスに有効な酸性アルコール消毒剤を使用しなければなりません。