コラム

2025.09.29

万博:マレーシア館の魅力に迫る

2025年、日本で開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」において、各国・地域のパビリオンはそれぞれ独自の魅力を放ち、来場者の関心を引きつけています。 その中でも、多様な民族と豊かな自然が織り成す文化を紹介するマレーシア館は、「多文化共生」と「持続可能な未来」をテーマにした万博の理念を映し出す、素晴らしいパビリオンの一つです。

今回はマレーシア館の展示内容や体験の特色、来訪者の感想や注目ポイントをご紹介します。 これから万博へ足を運ぶ方はもちろん、まだ訪れていない方々も、マレーシア館の全貌を感じ取り、訪問計画の参考にしていただければ幸いです。

サラヤとマレーシア

サラヤは世界各地で事業を展開しており、マレーシアにも進出しています。 具体的には、現地法人やパートナーシップを通じて衛生製品の普及や環境保全の取り組みを推進しています。 マレーシアのボルネオ島はパーム油の代表的な産地であり、サラヤは持続可能な調達を推進。 RSPO認証(持続可能なパーム油のための円卓会議)を取得したパーム油を調達しています。

マレーシア館が伝える「多様性の調和」とは?

マレーシアは東南アジアに位置し、マレー系、中国系、インド系など多様な民族が共存しています。 それぞれの文化や宗教、言語が融合し調和を保つこの「多様性の調和」は国のアイデンティティの根幹をなしています。 万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に呼応し、マレーシア館は多民族国家ゆえの文化多様性と共存の知恵を発信。 訪れる人々は、単に民俗文化の紹介にとどまらず、「違いが共生にどう貢献するか」を五感で体感できる演出を展開しています。 例えば、館内の壁面や展示スペースには、マレー語、中国語、タミル語の文字が織り交ぜられ、色彩豊かな民族衣装や工芸品が空間全体を彩っています。

展示内容と体験プログラム

マレーシア館の外観は伝統的なマレー式家屋の屋根の形状をモチーフにしつつ、近代的なガラスや金属素材を用いています。 自然環境との共生を重視した設計で、木漏れ日や風の通り道を計算し、来訪者の快適性も考慮されています。 館内は開放的で、来場者が自由に歩き回りながら展示に触れられるよう工夫されています。 複数民族の交流や共生を「まるで市場の賑わい」のように演出し、人々のつながりの一端を象徴的に表現しています。

館内に入るとまず目にするのは、マレーシアの豊かな食文化を多様な民族の融合の象徴として紹介する展示です。 タッチポイントが用意された体験ゾーンでは、ナシレマ(ココナツミルク炊き込みご飯)やラクサ(スパイシーヌードル)など代表的な料理の映像展示や調理過程の紹介が充実しています。さらに、香りやスパイスに触れて学習できるバーチャル体験シミュレーションも設置。 五感を使い、単なる視覚的展示を超えて、その土地の文化を体感できる工夫がなされています。

現在のマレーシアが直面する環境課題も率直に展示しています。 熱帯雨林の保全、多様な生物種群の保護、持続可能な農業の推進といった未来を見据えた取り組みを紹介。 一方で、森林伐採や気候変動への対策も現実的な課題として提示。万博訪問者にも環境問題への意識喚起を促しています。 館内の一部スペースでは高効率エネルギー技術やエコデザイン製品も展示され、科学的アプローチと伝統文化の融合により、“新たな共生”のビジョンが描かれます。

マレーシア館の人気の理由

多くのパビリオンが長蛇の列となる中、マレーシア館は表示されている待ち時間よりも比較的早く案内され、アクセスしやすい点が評価されています。(※6月来訪時) 計画的な運営や訪問者数の適正調整に努めていることが功を奏しています。 また、料理の映像展示だけでなく調理風景やスパイスの香りを取り入れた演出は、子どもから大人まで「まるでそこにいるような臨場感」を味わえると好評です。 香油やスパイスの香りは記憶に残りやすく、自宅に帰ったあとも印象を引きずる体験となっています。

多様性を力に変える社会のビジョン

マレーシア館を訪れると、「違いこそが可能性の源泉」というコンセプトが自然と胸に染み込みます。 単に文化を紹介するだけでなく、それらの文化が互いに尊重し合って築き上げられる社会のあり方を示唆しています。 これは2025年万博の主軸テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とも重なります。 国境や民族の枠を超え、多様な価値観と文化が共存し、互いの強みを活かしながら地球規模課題に挑む未来社会の原型がここに描かれているのです。

万博の醍醐味は未知の文化に触れ、世界の多様性を直接感じ取ること。 マレーシア館はその最前線の一つとして、皆様の旅路に深い感動と発見をもたらしてくれるでしょう。 これから万博に足を運ぶ予定の方は、ぜひマレーシア館で多文化共生の奇跡を感じてみてはいかがでしょうか。 きっと忘れられない思い出と未来への希望を胸に刻む体験となるはずです。