コラム

2025.10.06

世界を旅する一日 ~万博で出会った香りと音とスタンプラリー~

「世界の文化と出会う場所」として有名な万博ですが、そこでは期待をはるかに超える貴重な体験ができました。
普段行くことのできない国や、距離的にもなかなか踏み入れにくい国の文化に間近で触れる機会は容易にはありません。
けれども、万博では一歩足を踏み入れるだけで、一日で何か国もの文化や伝統に触れることができるのです。

広大な会場を歩きながら、私は自分がまるで世界旅行の最中にいるかのような感覚に浸っていました。

世界が交差する体感ルート──「コモンズ館」

コモンズ館にはたくさんの国が集まり、それぞれの文化や特産品を一度に体験できる、まさに「世界の交差点」と呼ぶにふさわしい場所でした。

館内に足を踏み入れると、国ごとにまったく異なる雰囲気のブースや装飾が目に飛び込んできます。
ブースごとに個性的な民芸品や特産品がきれいに並べられ、歩くだけでも知らなかった国の魅力を感じることができて飽きることがありません。
また、カヌレやコーヒーなど、各国にちなんだ飲食物も販売されていました。
自分の好きなドリンクやデザートを選び、館内のテーブルで味わえるスペースもあり、他のお客さんがまるで世界のカフェを巡るように楽しんでいる姿を見て、私も思わず立ち寄りたくなりました。

また、民族衣装を着たスタッフがあたたかく迎えてくれたり、BGMとして流れる現地音楽や展示されている工芸品にも思わず目を奪われました。
現地に行かなければ出会えないような品物や美しい装飾、異国ならではの空気や文化を肌で感じられる場所───それがコモンズ館の最大の魅力です。
一度に多くの国の文化を体感できる万博ならではの特別なエリアで、まるで短時間で世界中を旅したかのような気分が味わえました。

心に残ったパビリオン1──「チュニジア館」

数あるパビリオンの中でも特に印象に残ったのが、「チュニジア館」です。

チュニジアと言えば、テレビや雑誌で見る程度の情報で、砂漠や歴史建造物の断片的なイメージしか持っていなかった私。
ところがチュニジア館に足を踏み入れる前、並んでいるときからふわっと漂ってきた華やかで上品な花の香りに、「いったいこのいい香りは何だろう?」と強く惹き込まれました。
その場ですぐに検索してみたところ、これが「ジャスミン」の香りであり、しかもチュニジアの国花であるということがわかったのです。
たった一つの香りが、その国を象徴する文化や物語へとつながっていく感動は、まさにリアルな異文化体験そのものでした。

パビリオン内にはジャスミンを使ったフレグランスや繊細な細工のシルバーアクセサリーが美しく並び、異国の空気を身近に感じることができました。
目を閉じれば、遥か遠くの異国にいるような気分。
香りには土地の記憶や文化が詰まっているのだということを強く実感しました。

そして、出口付近へと進むと、そこにはジャスミンの花をかたどった装飾がたくさん飾られていました。
その白く繊細な花がゆらゆらと揺れ、清潔感と華やかさを演出していて、とても幻想的な美しさでした。
見上げるたびに光を透かして輝く様子は、とても強く心に残りました。

そして今でも忘れられないのが、ジャスミンの香りのフレグランス。
とても良い香りで、何度も買うべきか迷いましたが、その場では買わずに帰ってしまいました。
家に帰ったあとも、あの香りがふとよみがえってきて、「やっぱり買えばよかった...」と後悔するほど、私にとって強い印象を残してくれました。

心に残ったパビリオン2──「ネパール館」

次に、ネパール館。 こちらでは、ネパールの伝統工芸や文化が紹介されていましたが、その中でもとりわけ印象的だったのが「シンギングボウル」の体験ができたことです。
シンギングボウルとは、金属製のボウル状の器で、もともとはチベット仏教の法具としても使われてきたものです。
木の棒でボウルの縁を静かになぞるようにこすっていくと、深く澄んだ独特の音が響きわたります。
その音はただの“音色”にとどまらず、体にも心にもじんわりと染み入るように感じられ、癒しや瞑想の場などでも世界中で親しまれているそうです。

今回、スタッフの方の説明を聞きながら実際に体験してみると、見た目以上に力加減や手の動かし方にコツが必要で、意外と難しい!
何度か試したところ、次第にきれいな音が鳴り響くようになり、するとスタッフの方が「はじめてなのにとても上手!」と声をかけてくれました。
大人になってから誰かに褒められることの新鮮さもうれしくて、その瞬間、音色と共に自分の中に特別な思い出が刻まれました。

澄んだ響きの中で、まるでヒマラヤの山奥にいるような静かで神聖な空気を感じ、自分の手と音でネパールの文化を体感できた貴重な体験となりました。

集める楽しみ──「スタンプラリー」

そしてもう一つ、個人的にどうしても触れておきたいのがスタンプラリーです。
全てのスタンプを制覇しようと意気込んだわけではなく、「せっかくなので、ひとつでも多く押せたらいいな」という軽い気持ちでスタートしました。

でも、いざ始めてみると、想像以上に夢中になってしまいました。
実際に始めてみると、どこのパビリオンにも個性的なスタンプが用意されていて、押すたびに“この国に立ち寄った証”が手元に残る感じが楽しくて、どんどん夢中になっていきました。
結果的に1日でおよそ100個ものスタンプを集めることができ、自分でも驚きと達成感でいっぱいになりました。
たとえコンプリートはしなくても、集まったスタンプの数だけ、ここでしか味わえない小さな冒険や出会いの軌跡が残っていると感じられて、胸が熱くなりました。

万博がくれた贈りもの──「ときめき」

会場を後にする頃には、「また行きたい!」という思いが自然と湧いてきました。
見て、聞いて、香って、触れて、食べて───五感で体験した世界各国の多様な文化は、どれも思い出深いものばかりです。

特に、チュニジア館で迷って買わなかったジャスミンのフレグランスや、ネパール館で見かけた色とりどりのオパールアクセサリーは、今でも「あのとき手に入れておけばよかったな」と心に残っています。
次にまた異国の文化と出会う機会が訪れたら、今度こそ「迷ったときは、買う!」を合言葉に、そのときめきと出会いを大切にしたい――そう感じています。

万博での出会いがくれた“ときめき”は、きっとこれからの日常にも彩りを添えてくれるはずです。

日常に彩りを──「異国体験」

今回の万博体験を通して改めて感じたのは、世界には本当に多種多様な文化があり、それぞれの国に独自の色や香り、音や味があること。
そして、そんな未知の文化を、いま自分がいる日本にいながらにして体験できる万博のような場所の素晴らしさでした。
普段はなかなか海外旅行に行けなかったり、特定の国に興味があってもなかなかチャンスがつかめなかったりする方にとっても、万博はたくさんの発見や出会いをもたらしてくれる場所です。

家に帰ってからも、スタンプ帳を見返したり、体験したエピソードを家族や友人と語り合ったり――万博で過ごした時間は、毎日の暮らしにさりげない彩りを添えてくれています。

これからも、世界の多彩な文化に出会う機会があれば、もっと積極的に“ときめき”をキャッチして、気になった特産品は「迷った時は買う!」の気持ちで手に入れたいと思います。

あなたの日常にも、素敵な異国体験による新しい彩りが加わりますように。

特別な時間をあなたへ──「世界を旅する一日」

会場には、普段なかなか出会えない世界中の文化や人々が集い、多彩な感動が広がっています。
日常では味わえない、とっておきの体験や一期一会の出会いも、ここならではの魅力です。

「新しいことに挑戦してみたい」「特別な思い出を作りたい」と感じたら、ぜひその気持ちのまま万博の門をくぐってみてください。
きっと、あなたの日常に忘れがたい彩りと刺激を加えてくれるはずです。

私自身も、「あのとき訪れてよかった」と思える貴重な体験をここで得ることができました。
皆さまの心にも、素敵な一日が刻まれることを願っています。