テクノロジー

2025.11.25

【開発秘話】高齢者の皮膚とスキンケア

加齢に伴うスキントラブル

高齢者の皮膚は加齢に伴って薄くなり、皮脂の分泌量や角層の水分量が減少するため乾燥しやすくなります。 その結果、皮膚のバリア機能が低下し、ドライスキン(乾燥)、かゆみ、湿疹、スキンテア(皮膚の裂傷)、褥瘡(床ずれ)、およびIAD(Incontinence Associated Dermatitis:失禁関連皮膚炎)など、さまざまなスキントラブルが起こりやすくなります。 スキントラブルの発生は、高齢者のQOL(生活の質)を大きく損なう要因にもなります。

高齢者のスキンケア

スキントラブルを予防し、皮膚の健康を保つためには、高齢者の皮膚の特徴を踏まえた上で、「清潔・保湿・保護」の基本的なスキンケアを継続的に行うことが推奨されています。

清潔ケア

個々の状態に応じて、入浴・シャワー浴・部分浴・清拭などを行います。
皮膚の洗浄には、38~40℃程度の微温湯を使用し、皮膚のバリア機能の低下や乾燥を防ぎます。 弱酸性で低刺激性の洗浄剤をよく泡立て、泡のクッションでやさしく洗います。摩擦による刺激を避けるため、ゴシゴシとこすらずに洗うことが大切です。 サラヤスマイルズ薬用泡洗浄料のような泡タイプの洗浄剤を使うと、より簡便に行えます。 洗浄後は、洗浄剤の成分が皮膚に残らないよう、微温湯で十分に洗い流します。 その後、乾いたタオルなどで優しく押さえるようにして、水分を丁寧に取り除きます。 入浴が困難な方には、適温のクロスを使用した清拭でも対応可能です。 洗浄剤を用いた清拭の際には、成分が皮膚に残らないようによく拭き取ることが大切です。

保湿ケア

清潔ケアの後には、保湿剤を全身に塗布して皮膚の潤いを保ちます。 皮膚がしっとりと潤っている清潔ケア直後のタイミングが望ましいとされています。 清潔ケア直後の保湿が難しい場合でも、できるだけ時間を空けずに保湿を行うよう心がけましょう。 保湿ケアで最も重要なのは、毎日継続して実施することです。 日々の習慣にすることが、健やかな皮膚状態を保つために不可欠です。
保湿剤は手のひらに取り、少し温めてから使用します。 皮膚をこすらないように注意し、手のひら全体を使って優しく馴染ませるように塗布します。 乾燥が強い場合は、保湿剤の量を増やすのではなく、塗布する回数を増やすことが効果的です。 在宅でのケアで、毎日全身をくまなく保湿することが難しい場合は、低刺激性で保湿成分を含んだ入浴剤を併用するなど、ご家庭で無理なく続けられる方法を取り入れるとよいでしょう。 皮膚に生じる摩擦やずれが原因で「スキンテア(皮膚の裂傷)」が発生することがありますが、強い痛みを伴い、治りにくく、再発しやすいのが特徴です。 その予防には、一日に二回以上の保湿ケアが有効とされています。

保護ケア

乾燥が強い場合には、保湿ケアの後に油分の多いクリームなどを重ねて塗布することで、皮膚内部の水分の蒸発を防ぐことができます。 また、おむつを着用している場合は、内部の蒸れによる皮膚の浸軟(ふやけ)や排泄物による刺激が原因となって、IADが発生しやすくなります。 この予防には、撥水性のあるクリームやオイルを使用して、排泄物の皮膚への付着を防ぐことが重要です。 クリームには水が油を取り囲む「O/W(Oil in Water)型クリーム」と、油が水を取り囲む「W/O(Water in Oil)型クリーム」がありますが、サラヤスマイルズ保湿・保護クリームはW/O型クリームであるため、皮膚のうるおいを逃がさずに保持しつつ、外部刺激から皮膚を守る保護膜の役割も果たします。 このように保湿と保護を同時に行えるため、ケアの手間を軽減でき、日常的なスキンケアに便利です。

サラヤスマイルズ薬用洗浄料で洗浄した後に、サラヤスマイルズ保湿・保護クリームを塗布し、1時間、5時間、7時間後の角層水分量を測定しました。 その結果、サラヤスマイルズ保湿・保護クリームを塗布した群では、洗浄のみ行った群と比較して、角層水分量が高い状態で維持されており、保湿効果が持続することが確認されました。

人工皮膚モデルであるバイオスキンに蒸留水またはサラヤスマイルズ保湿・保護クリームを塗布後、その上に水を20 μL 滴下し、バイオスキンと水滴との接触角を測定しました。 その結果、サラヤスマイルズ保湿・保護クリームを塗布した場合は、蒸留水を塗布した場合と比べて接触角が大きくなり、撥水性が高いことが示されました。

著者:尾田 友香
バイオケミカル研究所 スキンケアグループ