表1.医療関連感染で問題となる主な微生物
微生物 | 生存期間の目安※ | 生存環境(例) | 特徴 |
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アシネトバクター・バウマニ | 乾燥表面上の生存期間:3日~5ヶ月間 |
など |
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) | 乾燥表面上の生存期間:7日~7ヶ月 |
など |
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バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) | 乾燥表面上の生存期間:5日~4ヶ月 |
など |
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クロストリジウム・ディフィシル | 乾燥表面上の生存期間:5ヶ月 |
など |
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緑膿菌 | 乾燥表面上の生存期間:6時間~16ヶ月(乾燥表面では5週間) |
など |
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セラチア菌 | 乾燥表面上の生存期間:3日~2ヶ月(乾燥表面では5週間) |
など |
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ノロウイルス | 乾燥表面上の生存期間:8時間~7日 |
など |
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※生存期間の目安は、文献データを検索・評価した結果、得られた目安です。
環境からの感染の多くは手指を介して起こります。そのため、手指の接触頻度に応じた清掃が重要です。床や壁、天井などの医療従事者や患者が直接接触する頻度が低い部分と、ドアノブやベッド柵、オーバーテーブルなどの直接接触する頻度が高い部分とに分けて考える必要があります。高頻度接触面は汚染されやすいため定期的に清掃し、必要に応じてアルコールなどで消毒します。
表2.手指の接触頻度と清掃の処置
接触 頻度 |
分類 | 例 | 処置 | ||
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高
低 |
医療機器表面 | 透析装置のハンドルやノブ、X線機器、器具のカートなど | 定期的清掃 汚染時の除染 カバーで覆う等 |
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手指の高頻度接触面 | ドアノブ、スイッチ、ベッド棚、オーバーテーブル、トイレ周辺の壁など | 定期的清掃 汚染時の除染 退院時の清掃 |
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手指の低頻度接触面 | 水平 表面 |
床、窓の敷居など | 定期的清掃 汚染時の除染 退院時の清掃 |
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垂直 表面 |
壁、ブラインド、カーテンなど | 汚染時のみ |
手指の接触頻度の低い環境 (床や壁など)の場合、床は定期的に除菌洗浄剤(プロベストなど)や0.05~0.2%両性界面活性剤で清掃します。
壁やカーテン等の垂直表面は目に見える汚染がある場合のみ清掃を行います。
手指の接触頻度の高い環境 (ドアノブ、キーボードやマウスなど)の場合、除菌洗浄剤(プロベスト、環境清拭クロスなど)、アルコール(エタノールクロス80、サニクイックなど)や0.05~0.2%両性界面活性剤でこまめに清掃します。
血液や体液などによる汚染がある場合は、汚染局所の清拭除去および次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が必要です。その際は、必ず手袋などの個人防護具を着用することが重要です。