表1.スポルディングの分類
分類 | 定義 | 処置 | 対象の医療器具(例) |
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クリティカル | 通常無菌の組織や血管に挿入されるもの |
滅菌
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など |
セミクリティカル | 損傷のない粘膜および創のある皮膚に接触するもの |
高水準消毒
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など |
中水準消毒
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など |
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ノンクリティカル | 損傷のない皮膚と接触するもの |
洗浄/(低水準消毒)
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など |
洗浄は用手洗浄(浸漬洗浄を含む)、超音波洗浄、WDの3種類に大別されます。医療施設の環境や洗浄対象物の特性を考慮して洗浄方法を選択します。
表2.洗浄の種類と特徴
洗浄の種類 | 方法 | メリット | デメリット | サラヤ対象商品例 |
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用手洗浄 (浸漬洗浄) |
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超音波洗浄 |
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WD (ウォッシャーディスインフェクター) |
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洗浄剤を選定する際は、それぞれの特徴、材質への影響、汚染物質の種類など十分考慮する必要があります。
表3.洗浄剤の種類と特徴
洗浄の種類 | メリット | デメリット | サラヤ対象商品例 |
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酸性洗浄剤 |
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中性洗浄剤 |
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アルカリ性洗浄剤 |
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高価なWDがなくても、適切な酵素系浸漬洗浄剤で確実に洗浄すれば、優れた洗浄効果が期待できます。
しかし、酵素系浸漬洗浄剤の洗浄力には、酵素の働きが大きく関与しているため、製品や使用方法により効果に差が出ます。
酵素系浸漬洗剤を使用する際は以下の2点に注意が必要です。
消毒には、消毒薬を用いる化学的消毒法と、熱水(80℃・10分など)を用いる物理的消毒法があります。
消毒薬はそれぞれの特徴、使用目的、消毒対象物への影響、安全面など十分考慮して使用する必要があります。熱水を用いた消毒法は効果が確実、かつ経済的で、消毒薬のように残留毒性に配慮する必要がない安全な方法です。熱に耐えられるものの消毒には熱水消毒のような物理的な方法が第一選択となります。
滅菌には、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、酸化エチレンガス(EOG)滅菌、過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌、化学的滅菌などがあります。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)は安全性や操作性が高く、残留毒性がありません。また、短時間で芽胞に対しても効果があり、経済的で、滅菌条件に耐えられる器具であれば最も安全で確実な方法です。
表4.消毒および滅菌の水準分類と主な微生物に対する効果
水準 分類 |
定義 | 処理 | 一般細菌 | 真菌 | 結核菌 | ウイルス (エンベローブ) |
芽 胞 |
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有 | 無 | ||||||||
滅菌 | すべての微生物を死滅させる | EOG滅菌 オートクレープ ガスプラズマ滅菌 過酸化水素ガス滅菌 化学的滅菌(過酢酸10分、グルタラール3~6時間) |
○ | ○ | ○ | ○ ※2 |
○ | ○ | |
消毒 | 高水準 | 多量の芽胞を除くすべての微生物を死滅させる | 過酢酸(5分) グルタラール(30分~1時間) フタラール(5分以上) 熱水消毒(80℃・10分) |
○ | ○ | ○ | ○ ※2 |
○ | △ |
中水準 | 芽胞を除く細菌、ほとんどのウイルスや真菌を死滅させる | 次亜塩素酸ナトリウム アルコール ポピドンヨード |
○ | ○ | ○ | ○ | △ | × | |
低水準 | ほとんどの細菌、真菌、一部のウイルスを死滅させるが、結核菌・芽胞は死滅させない | 第四級アンモニウム塩 クロルヘキシジングルコン酸塩 両性界面活性剤 |
○ | ○ | × | △ | × | × |
※1 低水準消毒薬は、グラム陰性菌の一般細菌に対する効果で、常用濃度、短時間または規定時間の接触で抵抗性を示す菌が報告されている。
※2 グルタラールは、結核菌などの抗酸菌に対する効果で、常用濃度、短時間または規定時間の接触で抵抗性を示す菌が報告されている。